ウエイターのサービスからレストランの質を見分ける

ウエイターのサービスからレストランの質を見分ける

ウエイターのサービスからレストランの質を見分ける

ある程度きちんとしたレストランでは、料理を運ぶとき、お皿やグラスの持ち方が細かく決められているという。

ここで紹介するのは、あるイタリア料理店のケースだ。

たとえば、ひとつのテーブルに3人座っていたら、料理は3人同時に出すのが親切。そのためには、3つの皿を同時に運ぶ必要がある。しかし、何人ものウェイターをひとつのテーブルに集中させるわけにもいかない。

そこで、I人で同時に3つの皿を運ぶ、という技が要求されることになる。まず、1枚目の皿を左手でもつ。次に2枚目の皿を左腕に載せる。このとき、2枚目の皿のふちが1枚目の皿に少し重なるようにし、さらに、逆側のふちを左腕のひじの内側のところで押さえ気味にすると、バランスよくおさまるのだ。3枚目の皿は右手でもてばいい。

では、4枚だったら?

1枚目を左手の親指と人差し指ではさんでもち、さらに2枚目を人差指と中指の間にはさむ。3枚目は左腕に乗せ、4枚目は右手でもつ。

どうやら、左手に集中してもち、右手には1枚しかもたないというのが基本らしい。

なぜ、右手には1枚だけなのかというと、右手を使って順番に、左腕に載せた皿をテーブルに置いていくからだ。もし、右手にたくさんもってしまったら、テーブルに皿を置けないという事態になってしまう。

ちなみに、5枚以上のときは二度に分けて運ぶとのこと。



一方、グラスの運び方にもマニュアルがある。グラスはもちろんお盆に載せて運ぶのだが、倒れやすい背の高いグラスは自分に近い側に載せて運ぶのが鉄則。この位置からなら、もしもグラスが倒れて飲物がこぼれても、お客様にはかかりにくいからだ。

そして、これらのマニュアルの中でも圧巻なのが、グラスの置き方のマニュアル。

(グラスなんて、ただテーブルに置くだけじゃないか)と思うのは、シロウトのあさはかさ。実は、グラスの置き方にこだわるかどうかで、サービスの質がわかってしまうほどの気配りが隠されているのだ。どういうことかというと、グラスを置くときは、最初に、小指をテーブルにつけてからグラスを置くのが、この店の鉄則。

(なんでまたそんなことを?)と思うかもしれないが、これには深〜い理由がある。

つまり、グラスを直接テーブルに置くと、音がして乱暴な感じがするが、小指をついてワンクッション置けば、静かに置くことができるというわけだ。