松竹梅に隠された秘密

松竹梅に隠された秘密

松竹梅に隠された秘密

寿司、天ぷら、うなぎ、といった日本料理系の店だと、たとえば同じうな重でも、竹梅」とか「上中並」といった具合に、三段階に分かれていることが多い。

 

「上中下」と言わずに「上中並」と言うあたりは、日本人の知恵というもので、もしとなっていたら、そんなものを頼む人はあまりいないだろう。

 

それよりもさらに、曖昧なのが「松竹梅」である。人によっては、松より梅の本のほうが好きな場合もあるだろうし、よく考えれば、なぜ「松」がいちばんよくて、「竹」がその次なのかわからない。

 

外国人のお客さんを接待するときなど、これはどういう意味かと問われて、まともに答えられる人はいないだろう。「日本の不思議」のひとつである。

 

それはともかく、昼休みとか、混雑しているときにそういう店に行ったら、ほかの客が何を注文しているか、耳をすませてみよう。ほとんどが、「竹(中)」を頼むはずだ。そして、いちばん少ないのが、「梅(並)」である。

 

うな重の場合、「松竹梅」の差は、うなぎの大きさの違いだけということが多いから、「ダイエット中」との理由で「梅(並)」を頼むこともできるが、寿司や天ぷらの値段の差は、ネタの違いによるところが大きい。

 

だから、経済的理由で「梅」なんだ、と店の人やまわりの人に思われるのではないかとの心理で、「梅」は避けられるのだそうだ。

 

一方、「松」を頼む人は、たいがい接待か何かで、一緒の人をごちそうしなければならないとき。ごちそうするのに「竹」では気を悪くするだろうし、軽くみられたら困るとの思いで、見栄を張って「松」を頼むのである。

 

多くの人は、経済的理由で「梅」しか頼めないと思われるのはイヤだし、かといって、「松」では本当に経済的に無理かありそう、というわけで「竹」となる。

 

お店のほうも、そんなことは百も承知。「竹」のためのネタを多く仕入れている。それに、値段の設定も、ほとんどの人が「竹」を頼むという前提でしているから、実を言うと、「竹」を頼む人が多ければ多いほどお店は儲かるのだ。

 

「松」のネタは仕入れ値も当然高い。それに見合った利幅をとろうとすると、しなければならないが、それだと売れない。だから、「松」は値段は高いが、はそれほどではない。「梅」にいたってはもともとサービス品のつもり。

 

かなり高くお店の儲けつまり、経済的に余裕があるなら「松」を頼めばいいし、余裕のないときは見栄を張らずに「梅」を頼む、というのがトクする方法なのだ。