
ホテルにとっての商品は、客室。予約した客を信じて部屋を空けておくと、結局、朝まで空室なんて場合がある。予約したのに来ない客が、必ずいるものなのだ。キャンセルの連絡をくれればいいが、何も言ってこない客も多いらしい。キャンセル料を心配する気持ちもわからないではないが……。そうなると、商品としての部屋が売れ残ってしまうことになる。それを見越して、どこのホテルでも実際の客室数よりも多く予約を受けている。いわゆるオーバーブッキングである。それを何パーセントにするかが、予約係の腕の見せどころである。季節や曜日によって異なるし、最後は長年のカンらしい。とはいえ、ホテル業界も競争がはげしく、大型ホテルも次々とできていることから、オーバーブッキングしたくてもできないところも多いようだ。そこで、各ホテルともさまざまな割引サービスを始めているが、その中で意外と知られていないのが、夜い111時を過ぎてチェックインした人に対する割引。つまり深夜割引である。すべてのホテルで行っているわけではないが、実施しているホテルによっては、20パーセントから50パーセントも割引しているとか。言ってみれば、スーパーが閉店間際に「半額だよ1」とやるのと同じである。スーパーなら、売れ残ったものをまた明日売ることもできるが、ホテルはそういうわけにはいかない。だから、空気を泊めるくらいなら、半額でもいいから人間を泊めたほうがいいのである。空気はお金を払ってくれないのだから。残業したり飲みすぎたりして、終電に乗りそこなってしまったら、タクシーで帰るよりも、半額で一流ホテルに泊まったほうが、住んでいる場所によっては安いのではないだろうか。それにたっぷり眠れて、翌朝ラッシユアワーの混んだ電車に乗らなくてもすむといこつメリットもある。もっとも、タクシー代なら会社の経費で落とせても、ホテル代となると会社が出してくれるかどうかわからない。それに、奥さんが「本当に1人で泊まったの?・」と疑うかもしれないけど……。