
できるセールスマンは、顧客をひと目見ただけでその性格をズバリ見抜き、個々の性格に応じたセールス法を使い分けできるという。その見抜き方のひとつとして、ドイツのクレッチマー博士による『クレッチマー体型分類法』がある。体型ならパッと見ただけでわかる。そこで、やせ型か、太めかなどをとっさに見抜き、体型別性格診断をするというもの。たとえば、顧客がヒョロッとした『やせ型』だったら?クレッチマーの体型分類法によると、その多くは神経質で疑り深い気質に当てはまる。非社交的、内気、小心、鈍感、といった面ももち合わせているのがこのタイプで、簡単にはわかりづらい性格だけに、セールスマンにとって手強い相手だとか。そこで、どう攻略するかと言えば、理論で攻める。口を開くと、やせ型は往々にして理屈っぽくなるから、対するほうも、あーだこーだと理屈をこねて、売りたい商品がいかに優れているかを納得させてしまうわけだ。その際、きれいごとばかり並べると、(そんなことばかり言って、調子よく売りつけようとしているなり‥)と疑い深い気質がすぐ顔をのぞかせるため、あえて商品のデメリット部分も含めて説明するなどの裏ワザを使う。最初から正直に洗いざらい話しておいたほうが、かえって信用を得られるうえ、のちのちクレームをつけられにくくなるという。もうひとつ手ごわい相手が『筋骨型』。凝り性で完全主義の彼らは、相手にも完璧さを求めるもの。そこで、セールスマンは資料・データをパーフェクトにそろえること、礼儀正しく、順序立てて丁寧に説明すること、が肝心とか。一方、扱いにくそうで扱いやすいのは『肥満型』、つまりおデブ系。このタイプは陽気、陽気だけど気分屋、というわけで、こちらは陽気な状態と沈んだ状態とが交互に現れたりする気質。つまりやせ型とは正反対の性格ということになる。セールスマンは、顧客の波長に合わせて会話を盛り上げ、ストレートに、わかりやすく自分と商品をアピールすればよい。このタイプは、疑うよりもせっかちに信じてしまう単純さが勝っているので、多くの場合セールスマンのペースに引き込みやすいのだ。ただ、もちろんこの体型別性格診断は、大まかに人を類別する第一ステップにすぎない。あとは会話をしてみて、さらに細やかな性格を探りながら、よりその顧客に合ったセールス法へと転換していくわけだ。